【5分でわかる!】大阪都構想と都区制度【超まとめ】

こんばんは。
せりざわ裕次郎です(品川区議会自民党)です。

昨日から一夜明けて、二度目の大阪都構想の住民投票が否決に終わりました。
これを受けて、日本維新の会と大阪維新の会の代表を務める大阪市長の松井一郎氏が任期満了をもって引退する旨の宣言がありました。

橋下徹元大阪府知事が掲げた『大阪都構想』とは何だったのか。
ネットでは、「都民というのは東京都でしか使ってほしくない!」といった誤解の投稿も拝見されます。
東京都の制度を参考にした都区制度に対して、大阪市民の総意がNoだした。
イコールではないものの、大阪市民が東京都の制度を敢えて選ばなかったのは何故なのかをざっと触れていきます。

大阪都構想とは?

大阪府大阪市の「大阪市」を廃止し、4つの区に分割しよう。という考え方です。平成27年(2015年)に、橋本徹大阪市長(当時)によって住民投票がなされ、否決。5年越しの再挑戦となりました。結論から言えば、今回も否決になったわけですが、賛成多数となっていた場合、令和7年(2025年)1月1日から都区制度がスタートする予定でした。
※よくある誤解として、大阪都構想が成立しても、大阪府の名称は大阪都には成りえません。東京都と23区の関係を大阪市に適用するのが都構想です。

東京都の都区制度の振り返り

モデルとなる東京都の制度を振り返ります。
東京都も昭和18年(1943年)まで、東京府でした。現在の23区(特別区)は当時35区(行政区)、それをまとめるのが大東京市でありました。
その後昭和22年(1947年)に、日本国憲法および地方自治法が施行され、現在の都・区の制度の基礎が出来ました。
※ここから都区間の事業および財源については、多くの激論がなされ、改変されています。

「区」という言葉は、神奈川県横浜市港北区など、大阪市でもすでに24のがあります。東京23区とは全くの別物で、特別区のシステムは23区でしか使われていません。
特別区=市区町村と同様に基礎的な自治体として自治権をもつ (大阪都構想も公約)
行政区=あくまでも行政上の区割り (大阪市の現状)

大阪市の基本情報

※()内は品川区のデータ

人口:275万人(40万人)約7倍
面積:225km2(23km2)約10倍
行政区:24区(なし) ※24区は政令指定都市の中で日本最多

なぜ大阪市はめざしたのか(賛成派 vs 反対派)

賛成派の主な主張

①二重行政の解消 (府と市が両方携わる府市合わせ「不幸せ」の解消)
②上記の余った財源で経済成長 (インフラ投資等)
③地域ごとのサービスの向上 (市全体ではなく、それぞれの地域が運営)

反対派の主な主張

①コスト増によるサービスの低下 (区を分ける初期費用と自治体が小さくなることによる継続費用)
②地域の財源が地域で管理できなくなる (品川区の税金も東京都を通じて他へ使われています)

大阪都構想の結果

一回目(平成27年)
投票率 66.83% 投票者数 1,400,429人
賛成 694,844票(49.62%)
反対 705,585票(50.38%)

二回目(令和2年)
投票率 62.35% 投票者数 1,375,313人
賛成 675,829票(49.37%)
反対 692,996票(50.63%)

結果としては、二度とも否決されたことで、住民投票に無駄な税金が使われた。といった議論もありますが、投票率の高さを見ると大阪市民が自分たちの自治体のあり方を考える非常に意義のある機会であったと思っています。
(私の初当選でもある品川区長選+区議補選は投票率32.71%)

特別区の今後

特別区の構造は、東京都だけのシステムで、独走とも言えるし、誰も真似しないとも言えます。47都道府県、1724の市区町村それぞれが、財政問題・行政の権限の課題を持っており、自治体の構造を変えることで解決するのでは?と日々頭を抱える中で、都構想が支持されなかったのは、都区の制度の中にいる品川区民として考えるところがあります。

現行法では、都区制度を採用して、特別区になることはできても市に戻ることが出来ないこともあり、他の構想を模索してほしいという大阪市民の声も多かったのではないでしょうか。維新の会は大阪都構想の可決をもって都構想の全国も視野に入れていました。二度にわたる否決ではありますが、全国の行政マンが動向を注視していたことは言うまでもありません。
東京23区も大東京市に戻ることはできないわけで、現制度の中でより発展的な都区制度にするため、東京都とは常に激論を交わしており、昨今では児童相談所の設置が話題になっています。とは言え、平成12年の都区制度改革以降、「改革」と言われるほどの大きな動きはなく、微調整にとどまっています。

小池都知事の公約として、東京大改革を掲げており、この東京大改革にはグレーター東京(大東京圏)構想というものがあり、今回の都構想や後程述べる道州制に近い自治体の根幹を変える改革のように読み取れますが、カタカナ公約で真相は謎であります・・・
どちらにしても、大阪市に負けず我々も今の東京都を見つめなおすきっかけをもらったのかもしれません。

豆知識①道州制

実は、都構想と似た発想で『道州制』という考え方があり、国の方で議論が停滞しています。日本における最も大きな地方公共団体は都道府県になりますが、道州制はそれよりさらに広域な地方公共団体を作り、行政の効率化を目指そうという考え方です。九州や近畿など地方の分類を中心に「州」を作るのが基本で、北海道の道とその他州で道州制と言います。安部前総理もたびたび議題に挙げていましたが、現在の東京一極集中と言われる中で、議論はストップしてしまったようにも感じます。

豆ちしき②大阪都構想の歴史

大阪都構想というと「橋下徹!」「維新の会!」といったイメージが強くありますが、実は昭和28年(1953年)を初めてとして大阪府から、大阪都構想は計3度議論にあがっていたそうです。今回の5回目の都構想まで、それぞれ構想が異なっており、一括りにはできませんが、大阪都構想は長い歴史がありました。大阪だけでなく、今後も自治体の改革は、各地域の注目を集める形になりそうです。